カースト制について(その1)

今回からは3回にわたり、カースト制度について書いてみます。

カースト制度は、紀元前1000年頃、それ以前にインド北西部のカスピ海周辺地域からインドに侵入してきたアーリア人が、先住民を支配した際に作られたものです。アーリア人は先住民を支配するために神話を作り、それを基にバラモン教を作り、そしてこれを正当化、制度化していったものとされています。

カーストは基本的にバラモン、クシャトリア、ヴァイシャ、シュードラの4つに分けられ、その中でさらに細かく分類されています。加えてこの4つのカーストのさらに下に「不可触民」や「ダリット」と呼ばれる層がありますが、こうした言葉は差別用語とされるため公式には「指定カースト」と呼ばれます。

現在はカーストによる差別は法律で禁止されていますが、今でも主に農村部などでは上位カーストと同じ井戸を利用したり、ともに食事をしたりすることが許されず、同じ寺院に参拝することも許されていません。指定カーストはインド全国民の2割弱、後進カーストのシュードラは5割弱いると言われています。

カーストは親から子へと受け継がれ、結婚も基本的に同じカースト内で行われます。現在インド社会ではカーストの影響は徐々に小さくなってきていますが、異なるカースト間での結婚は今でも困難です。地方では異なるカースト間で結婚しようとする娘を親が殺すという事件も起きています。

カースト間の移動は認められていません。ただ現在の人生の結果により、次の生で高いカーストに上がることができるとされています。現在のカーストは過去の生の結果であり、それを受け入れて生きるべきとされ、カーストはヒンドゥー教の根本的な世界観である輪廻転生と結びついた社会原理です。

カースト制は世襲的に細分化された職業に結び付けられており、各階層の人々はそれぞれの階層にとどまるようにされています。例えば指定カーストの多くは、ゴミ回収や清掃、食肉処理業などへ従事するものとされており、その多くは貧困状態におかれたままとなっています。ただITのような新しい業界では、カーストによる制約はなく、誰でも実力次第で上に上がれます。

ちなみに、現在のインドの大統領であるラム・ナト・コビンド氏は指定カーストの出身です。

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