顧客志向が強まるインドの力を活用する

インド人は、自分が仕事を「出す」時は成功報酬が好きですが、仕事を「受ける」時は成功報酬を嫌がります。これは、仕事をしてもお金が払われないという経験があるからです。このことは、初めての取引の場合や取引相手が外国企業となればなおさらです。

でも最近は、少し状況が変わってきたようです。グローバルでのビジネス経験を積むにつれ、顧客の意向に極力合わせようという意識が高まってきているからです。

私がこれまで接してきた経験から言えば、インド人の中でも、特に若者ほど取引条件は硬直的で、融通が利かないものでした。これは私が接した若者は、会社のオーナーの息子や、会社を設立してすぐという人がほとんどでしたので、親父さんに儲けた所を見せたいとか、リスクは避けた上で目先の会社の収益を上げたいという人が多かったという事情もあるのでしょう。

そういう彼らは、目先の収益だけに焦点を当てすぎるあまり、最初にGiveして、後でTakeするという発想のない人が多くいました。しかし、グローバルにビジネス経験を積んでいくにつれ、最近は彼ら若者の意識もだいぶ変わってきているように感じます。それは、Giveした後でTakeする方が、結局収益を上げられるということがわかってきているからでしょう。

とは言え、そうした譲歩は、その後の将来の関係を見据えるからこそです。我々がそうした彼らの譲歩を当然だと思い、彼らに将来への長い良い関係への期待を抱かせられないなら、すぐにお互いの良好な関係は終わるでしょう。

私はインドと接して20年以上になりますが、インド人の意識の変化の速さはよく感じます。今回の例のように、まず顧客との関係強化を図り、長期的に利益を得てくるような顧客志向が強まっていけば、もともと強いインド人の営業力は今後ますます強化され、グローバルな販売競争で存在感を増していくでしょう。ただ、日本がこのインドの力を活用できれば、それは我々のパワーとすることができるのです。

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