印パ関係とパキスタンの可能性

インドの地政学的リスクを考える場合には、まず印パ関係を押さえておく必要があります。インドとパキスタンがお互いに領有権を主張して争っているカシミール地域は、日本の外務省からも危険度最高のレベル4退避勧告地域に指定されています。

ちなみにインドは大半の地域で危険度レベルは最少1の「十分注意する」地域に指定されており、バングラデシュ北側や東側の地域の多くとビハール州南部からインド中央部南にあるハイデラバードの北側に至る地域でレベル2の「不要不急の渡航はやめる」地域に指定されています(ハイデラバードを含むインドの大都市はすべてレベル1の地域です)。

インドにおいてテロの懸念で最大のものは、イスラム過激派の動きでしょう。そしてそのイスラム過激派は、パキスタンを拠点に活動しているものがほとんどです(とインド政府は主張しています)。こういう背景から、インド国内で軍事産業が集積しているのは、パキスタンから離れた南部バンガロールになったのです。それが、バンガロールがIT産業の中心都市となった要因でもあります。

一方パキスタン経済は、経済基盤の弱さに政治的混乱も重なり、財政赤字の拡大等により2008年に経済危機に陥り、IMFによる支援を受けました。その後経済は成長し、2016年から3年間は5%台のGDP成長率を記録しましたが、昨年は3.3%成長へと減速しています。経済立て直しのため、IMFは昨年7月に総額約60億ドルの支援プログラムを開始しています。

印パ関係には対話の動きもありますが、基本的に対立関係が続いています。昨年8月、インドがジャム・カシミール州に認めてきた特別自治権を剥奪したことに対する措置として、インドとの貿易を停止しています。

2008年11月に起きたムンバイでのテロでも、パキスタンの武装組織の関与がありました。これについて当時、何人かのインド人と話をしてみましたが、インド人のパキスタンに対する憤慨感はやはり激しいものがありました。

そういう状況ですので、仕事の依頼は断らないインド人でも、ほとんどの人はパキスタンでの仕事を嫌がります。これには反パ感情に加えて、パキスタンの治安面での不安もありますす。

外務省の海外危険情報では、パキスタンは全土にわたってレベル2以上で、カシミール地域やアフガニスタンと接する大半の地域ではレベル4の最高ランクの危険度となっています。

以前パキスタンでブロガーを探す仕事をしたことがありました。その時は多くのインド人パートナーに断られましたが、若いインド人女性でパキスタンにコネを持つ人がようやく引き受けてくれました。また、昨年パキスタンのカーディーラーを開拓する仕事では、私自身がパキスタン社相手にメール/電話でコンタクトしましたが、なかなか連絡が取れず苦労しました。

今後パキスタンの経済が発展すれば、ビジネスのチャンスも増えていくでしょう。パキスタンは人口2億1千万人を超える大国ですし、親日国です。またパキスタンの自動車市場では、日系車のシェアはほぼ100%という状況です。将来的には日本にとって、十分に可能性がある国と言えるでしょう。

この記事へのコメント